性自認、性的指向を巡る立法化の動きについて

フェイスブックノートに書いた性自認、性的指向を巡る立法化の動きについて」をこちらのブログにも転記します。

まず、この間の流れの整理から。

現在、超党派議員連盟での議論と、民主党時代からのワーキングチームを設置しての議論、公明党のPT(プロジェクトチーム)、自民党特命委員会の議論と4か所で議論が行われてきた。

・超党派議連、民主党ワーキングチームは、2015年3月から議論を開始。

・公明党はプロジェクトチームを2016年2月3日に設置。

公明党 性的少数者差別解消へPT

・自民党特命委員会は2016年2月23日に設置。

・超党派議連は民主党のワーキングチームの案を叩き台に立法化を検討してきた。(2016.1.28)

「 超党派の国会議員でつくるLGBT(性的少数者)に関する課題を考える議員連盟は二十七日の総会で、性的指向や性自認による差別を解消するための法律の制定に向けて、立法検討ワーキングチーム(WT)を設置した。夏の参院選までに中間報告をまとめて、法案の早期提出を目指す。 (後藤孝好)

議連には自民、公明、民主、維新、共産、社民など与野党の約五十人が名を連ねる。会長の馳浩文部科学相は「東京五輪・パラリンピックを前に、わが国のLGBTの課題が国際的にも注目を集めることになる」と指摘。法制化は「与野党の主張をぶつけ合うのではなく、超党派で取り組むべきだ」と述べた。

WTでは、民主党が昨年末に作成した法案の骨子をたたき台に議論。差別解消のための国や地方自治体、国民の責務、企業の採用や学校生活での差別的な扱いの禁止、啓発の実施などを盛り込む方向だ。」

そのたたき台となる民主党案はこちら。https://www.dpj.or.jp/download/2508…
基本的に民主党案は障害者差別解消法をベースに作っている。

障害者差別解消法の第一条

第一条 この法律は、障害者基本法(昭和四十五年法律第八十四号)の基本的な理念にのっとり、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを踏まえ、障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本的な事項、行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置等を定めることにより、障害を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。

民主党案の目的案

 この法律は、すべての国民が、その性的指向又は性自認に関わらず、等しく基本的人権を享有するかけがのない個人として尊重されるものであるとの理念にのっとり、性的指向又は性自認を理由とする差別の解消等の推進に関し、基本的な事項を定めるとともに、行政機関等及び事業者における差別の解消等のための措置等を講ずることにより、性的指向又は性自認を理由とする差別の解消を推進し、もって全ての国民が、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とすること。

自民党特命委員会http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/new…

「 当事者・有識者からのヒアリング、政府・企業の取り組み状況の聴取等を重ねた結果、当委員会と しては、性的指向・性自認の多様なあり方を受容する社会や、当事者の方が抱える困難の解消をまず 目指すべきであること、また、必要な理解が進んでいない現状の中、差別禁止のみが先行すれば、か えって意図せぬ加害者が生じてしまったり、結果として当事者の方がより孤立する結果などを生む恐 れもあることが明らかにされた。 」

◆国会会期と成立時期の可能性について

今、国会の会期末は6月1日。参議院議員選挙があるため、国会延長はできない。
連休を開けると5月9日。自民党案を法案にし、公明党のPTとの調整をかけて、与党案として提出する時間が残っているのだろうか。

●ヘイトスピーチ対策法案は問題を残しつつ、今国会成立の方向性が見えてきている。

こちらの法案名は「 人種等を理由とする差別の撤廃のための施策の推進に関する法律案 」
参議院に提出されているので、参議院のホームページで確認できる。
第一条  この法律は、人種等を理由とする差別の撤廃(あらゆる分野において人種等を理由とする差別をなくし、人種等を異にする者が相互に人格と個性を尊重し合いながら共 生する社会を実現することをいう。以下この条において同じ。)が重要な課題であるこ とに鑑み、日本国憲法及びあらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約の理念に基 づき、人種等を理由とする差別の禁止等の基本原則を定めるとともに、人種等を理由と する差別の防止に関し国及び地方公共団体の責務、基本的施策その他の基本となる事項 を定めることにより、人種等を理由とする差別の撤廃のための施策を総合的かつ一体的 に推進することを目的とする。

●部落差別解消法も今国会の法案成立を目指している

<自民>部落差別解消の推進法案まとめる(2016.4.26)
人権 自民党が部落差別の法規制を検討(2016.1.8)

◆差別解消に資するものとそうではないものの判断についての正当性について

差別解消法成立→障害者

今国会で差別撤廃、解消法の成立を目指す→人種、部落差別

差別解消ではなく理解促進→性的指向・性自認

人権課題にこのような線引きを行うことが果たして妥当といえるのか。

今後法制化を目指すには、公明党との調整、与野党での調整が待っている。差別解消を目的としない理解促進とする正当な理由があるのかどうか、議論に期待したい。
自民党が差別解消を忌避する理由は、基本的な考え方の文書にもあるように
「 さらに、パートナーシップ制度に関しては、国民の性的指向・性自 認に対する理解の増進が前提であり、その是非を含めた慎重な検討が必要であることを、それぞれ 確認した。 」
同性婚や同性パートナーシップを認めないためのストッパーとして法案を考えておられるように見受けられる。
そうすると稲田朋美政調会長が熱心に法制化に動いている意味もよくわかる。
稲田氏が海外で同性婚をする邦人に対する婚姻要件具備証明書発行に激しく反対した国会質疑。(2009.4.3)
今回の自民党案に超党派議連の馳会長、事務局長公明党の谷合氏をはじめとした方々の対応が一つのキーになるだろう。
また、当事者が障害、人種、部落差別は解消するが、性的指向、性自認による差別は、解消ではなく、理解促進と課題によって態度を分けていることにどう捉えるのか。
まず、当事者、支援者の皆さんの意見を可視化するようにしてほしい。
自民党本部や、超党派議連、公明党PT、民進党WTのメンバーに意見を送ってほしい。
ロビイングをしているLGBT法連合会にも意見を送ってほしい。
そして、より良い法案になるよう交渉を重ねてほしい。
“Nothing About Us Without Us” (私たちのことを、私たち抜きに決めないで) は、障害者運動で使われてきた言葉。
最終的には、様々な妥協が必要になりますが、その前に意思を示してほしいと思います。
私は、超党派の差別解消法をベースとした法制化をのぞみますし、その実現のために働きかけをしたいと思います。
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